誓いのキスを何度でも
「天文台の中なんて反則だよな」と誠一はため息をつく。

「探しましたか?」

「うん。…まあね。
馬鹿みたいに探し回った。どこにいるのかも分からなかったのに…探さずにはいられなかった。…俺は果歩にイカレテルな…」

と自嘲気味に笑う。

「…ありがとう。
シンさんには振られちゃった」

「そうか…良かったよ」

と誠一は楽しそうに笑う。

「なにそれ?…少しはかわいそうって思ったら?」

「よしよし。可哀想だな」

「…なんだか…気に入らない」と私がむくれた声を出すと、


「…疲れただろ。寝てていいよ。
帰ったら、たっぷり慰めてやるから」

と、くすんと笑った声を出す。



…それは今日はいらないかも…
疲れてるし…
明日も仕事だし…

と思いながらも

低く流れている『secret monkey』の曲と
時折口ずさむ誠一の声が聞こえてくると

私は安心してすぐに眠ってしまった。

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