愛を知らない一輪の花 〜after story〜


挨拶に行く当日。

百合はいつになく緊張していた。
朝から部屋をウロウロと歩き回り、ソファーに座っては立ちを繰り返す。

そんな百合に見兼ねて声をかける。



「百合、そんなに緊張しないで?こっちまで緊張うつるよ。」

「あ、ごめんなさい。」


「もう出ようか。少しドライブでもしよう。」




そういうと早めにマンションを出て、遠回りしながら、蓮の実家に向かった。








車の中でも相変わらず、顔が強張ったままだ。
片手でそっと百合の手を包み込む。


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