愛を知らない一輪の花 〜after story〜
「こういうのもなんだが、ある程度上の役職についていて、裕福な方だと思う。子ども達には苦労をさせたくなくて、与えてられるものは与えてきた。そのせいか、蓮はなんでも手に入る環境で、、、冷めた子供になってしまった。勉強もスポーツも卒なくこなし、久美子に似たこともあって、学生の間も女の子も取っ替え引っ替えで、親から見ても気分の良いものじゃなかったよ。」
匠はその頃を思い出しているのか、顔を歪めながら、話を続ける。
「大学2年生のハタチを迎えて、ある日を境に蓮は変わった。、、、急に経営学と花の勉強に寝る間も惜しんで取り組んだ。、、、恥ずかしい限りだが、あんな必死な蓮の顔を初めて見たよ。卒業と同時に小さな花屋を立ち上げた。、、、嬉しかった。君があの子を変えてくれたんだよ。本当に、、、、ありがとう。」
「わたし、、ですか?」
百合は全く話についていけない。
蓮に会った覚えもない。