この手だけは、ぜったい離さない
「この合宿で洋ともっと仲良くなれたら、もう一度告白しようって決めてるの。だってどうしても諦めきれないくらい大好きなんだもん」
頬をぽっと赤く染めながら笑うはるちゃんは「あかりちゃんは私のこと、応援してくれるよね?」って問いかけてきた。
はるちゃんと、洋くんが付き合えるように応援する……?
洋くんは私にとっていちばんの友達だし、もちろんはるちゃんだって友達。
だからふたりには幸せになってほしい。
そう思っているのに「応援するよ」とはどうしても言えなかった。
そんなこと、言いたくないって思ってしまった。
「私は、あかりちゃんと追野くんを応援してるからね」
明るく笑いかけてくれたはるちゃんに、笑顔を返すこともできなくて。
洋くんは友達。
ずっとずっと、いちばんの友達だったの。
それなのに、洋くんが他の女の子と仲良くなることが嫌だと思ってしまった。
そのとき私は、はじめて自分の恋心に気づいてしまった。
いつのまにか洋くんは私の中で「いちばんの友達」から「好きな人」にかわっていたということに。