この手だけは、ぜったい離さない



「あっ、あかりーっ!おはよーうっ!」



風に吹かれ先端をなびかせる田んぼを眺めながら歩いていると、まっすぐ行った先のバス停からはつらつとした声が響いた。



青いベンチからさっと立ち上がり、手を振ってくれた女の子は同じクラスの、有坂美月(ありさかみつき)ことみっちゃん。



みっちゃんは合格発表の日に、すぐに私だと気づいて声をかけてくれた幼なじみ。

みっちゃんは背が160センチもあるからスタイルがよくて、ショートの黒髪が綺麗な顔立ちに似合っている美人さん。

サバサバした性格でしっかり者だったから、お姉さんのような存在だったんだ。



「おはようみっちゃん、昨日はごめんね。ラインしてる途中で寝ちゃってた」



そんな私とみっちゃんは6年ぶりの再会を果たし、昔のように意気投合しちゃって。

話したりなかった私とみっちゃんはラインを交換して、それぞれ帰ったわけなんだけど。



昨夜は0時が過ぎてもラインを続けていたところで、スマホを手に持ったまま寝ちゃったんだよね。


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