この手だけは、ぜったい離さない



「おっ、あかり!」



靴箱まで行くと「校門で待ってるよ」と言って教室をでて行った洋くんの姿を見つけた。



他のクラスの金髪の男子……洋くんがよく「タケ」って呼んでいるやたらと体格のいい人と話していたのか。

「じゃあな、タケ」って言って、そのふくよかなお腹をバシッと叩いた洋くんは私の方に笑顔で駆け寄ってきた。



「洋くんごめんねっ、はるちゃんと話してたらちょっと遅くなっちゃって……」

「ぜんぜんいーよ、俺もタケとずっと話してたから」

「じゃあ洋くんっ。アイス屋さんに連れてってくれますかっ?」



お願いします隊長、なんておどけながら敬礼を決めこんだ私のテンションはマックス状態。



なんてったって私は、大大大好きなアイスクリームを食べられるこの日を朝から楽しみにしていたのだ。



「……ぷっ、なーにが隊長だよ。さっさとついてこいよ、隊員」



……なんて、私のおふざけにつきあってくれる洋くんもどうやら機嫌が良さそう。



洋くんのことが好きだって、昨日の放課後にはるちゃんと話していて気づかされたんだけど…。



だからといって洋くんと目があっただけでドキドキしたりだとか、笑いかけられるとキュンってしてしまうだとか。

そんなことはまったくなくて、これまでどおり『仲のいい友達』っていう関係は崩れてない。



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