この手だけは、ぜったい離さない




「だろうと思ったよ。っていう私も同じタイミングで寝てたんだけどね」

「なんじゃそりゃ」



みっちゃんと遅くまでラインでなにを話していたのかっていうと、実は洋くんのことをいろいろと聞かされていたんだ。

私の方から教えてほしいって頼んだわけじゃないんだけど……どうやら洋くんは、この辺りでは名の知れた存在らしいってこと。



『そうそう……仙崎なんだけど、あんまり関わらない方がいいよ』



夜の22時を過ぎたあたり。

幼なじみたちがどう変わったのかって、みっちゃんが話してくれていたときに突然そんなことを言いはじめた。



だから私はすかさず『なんで?』って送りかえした。



『仙崎はね、中学2年生のとき他校の生徒とケンカして警察沙汰になったことがあるのよ』



あの洋くんがケンカ⁉

啓太くんにちょっと頭を叩かれたくらいで泣いていたあの洋くんが⁉



啓太くんに叩かれても、決して叩き返したりしなかった洋くんが……誰かを殴るなんて信じられない。

嘘でしょ、って思わず叫んでしまったくらい驚いてしまった。


< 12 / 228 >

この作品をシェア

pagetop