この手だけは、ぜったい離さない
『それは嫌だなぁ…。ハルキの隣にいるのは、私がいい…』
『だったらちゃんと気持ちを伝えなきゃ。誰かにハルキを取られちゃってもいいの?』
誰かに洋くんを取られちゃったら?
そんなの、ぜったいに嫌。
私だって、洋くんの隣にいるのは私だけがいいもん。
『でももしフラレたら……私とハルキの関係はそこで終わるかもしれないんだよ?ハルキに避けられるかも…』
だから怖いの、と泣き出したサキの気持ちは、まさに私が思っていることと同じだった。
だからなのかサキに感情移入してしまって、なんだか私まで泣きそうになってきた。
『ハルキはどうせ私のことなんて、友達としか見てないよ…』
『なんでサキはそうやって決めつけるの?実際にハルキにそう言われたの?』
『いや……言われてないけど。見てたらなんかわかるじゃん…』
確かに、私も洋くんに「あかりのことは友達としか見てない」ってはっきりと言われたわけじゃない。
でも、見てたらわかるじゃんって言ったサキの言葉には「それわかる」って頷ける。
はるちゃんが言ってたように、女の子と話そうとしない洋くんが、私にだけはなぜか話しかけてくる。
それってやっぱり、私を女の子として見てないからじゃん。