この手だけは、ぜったい離さない



『もうっ、サキのバカ!見てるだけでハルキの気持ちがわかるなんて、お前はエスパーかよっ!ハルキのことが本気で好きなら、ビビッてないでちゃんと向き合いな!』

『そっかぁ……ちゃんと向き合うかぁ…』



サキが泣きながらぽつりと呟いたところで、エンディングソングが流れはじめた。



「本気で好きなら向き合いな……かぁ」



そのまま後ろに倒れこんだ私の身体は、布団に受け止められ天井を見上げる形になった。

そんなときに、手元に転がしていたスマホからラインの通知音がなった。



スマホの画面を見てみると、ラインを送ってきたのは洋くん。

実はこれまで洋くんと連絡先を交換していなかったから、今日の帰りにバスの中で「ライン教えて」って言われてIDを教えてあげていたんだ。



『なにしてんの?』



って、可愛い絵文字もなければスタンプもないシンプルな文章。

私はニヤニヤしながら、すぐに既読をつけた。



『これから夕ご飯食べるとこだよ。洋くんは?』



と、すぐさま黄色いニコニコ顔の絵文字を添えて送り返す私。

すると5秒もしないうちについた既読。



『いま荒井ん家でゲームしてる』



そんな単調な文章でも、洋くんとやりとりできることが嬉しくってニヤニヤが止まらない。



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