この手だけは、ぜったい離さない



はるちゃん…この合宿で、洋くんともっと仲良くなりたいって嬉しそうに言ってたもんなぁ。

諦めきれないから、また告白したいんだって。



はるちゃんって、本当に洋くんのことが大好きで大好きでたまらないんだね。

洋くんのことは誰にも渡したくないっていうのが、見ていてすごく伝わってくる。



「あかり、オセロ対決したかったんでしょ?もう髪も乾いたから、これからしようよ」

「えっ……あぁ、うん」



私が入りこむ隙なんてどこにもないな。

キャリーバックからオセロを取りだして対局をはじめても、洋くんとはるちゃんのことが気になって仕方がない。



「ちょっと……次、あかりの番だよ?」

「はっ……そうだったそうだった。なんかぼーっとしちゃってたよ、あはは!」



洋くんとはるちゃん。

いまごろ楽しそうに笑いあっているのかな?



食堂ではるちゃんは「麻雀のルールがわかんない」って言ってた。

「まぁ役がいっぱいあるからな」って答えていた洋くんは、「じゃあ教えてよ?」と笑ったはるちゃんに教えてあげたりしてるのかな。



洋くんは「めんどくせぇな」って言っていたけど、嫌だとは言わなかったもんね?



「あかり……どうしたの?またあかりの番だよ。……って、泣いてるの?」



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