この手だけは、ぜったい離さない
ダメダメ、私ったら。
とりあえず今は、洋くんとはるちゃんのことは考えないようにしようっ!
せっかくの楽しい合宿なんだから!
「ほらほら、みんなでオセロ大会しようよぉっ」
……って、園崎さんたちにオセロを進めて気がついたけど…。
ついさっきまで目の前にいたみっちゃんがいない…?
「いいのー?やるやるーマイコ、やろうよ」や「いいよ、じゃあ最初は私とアキでやろ」って盛りあがる園崎さんと筒原さんに背中を向けて…。
みっちゃんは、四隅に寄せていた私のキャリーバックから、いつのまにか私のスマホを勝手に取りだしていた。
「ちょっ……みっちゃんなにやってるの?」
「ごめんねあかり、勝手に触っちゃって」
いや……まぁ見られて困るようなメールもラインも、写真もないからスマホを触られることには抵抗ないんだけどさぁ。
せめて……なにか一言ほしかったなぁ。
「なにか見たい写メでもあったの?」
「ううん、仙崎にライン送ってるの」
「あぁ、なるほど。洋くんにラインね……って、はぁぁ⁉」
私にスマホを手渡したみっちゃんは、洋くんと私のトーク画面を「ほら」と見せてきた。