この手だけは、ぜったい離さない
『はるちゃんと麻雀してるんだって〜?いいなぁ、楽しそうだねっ』
そんな短い文章の中には音符だとか、ニコニコ顔の絵文字が使われていて、いかにも私が打ちましたって感じの文章だ。
なにこれ、みっちゃんはいったい何を考えているの?
「ちょっとみっちゃん……。なんで私のふりして洋くんにライン送ったりするの?」
そんな勝手なことしないでよ。
洋くんはいま、はるちゃんたちと楽しく麻雀やってんだから!
どうせ私とラインをしてる暇なんてないでしょっ!
キッとみっちゃんを睨みつけると、みっちゃんから鋭い視線が返ってきた。
「遥ちゃんに嫉妬して泣くくらいなら、あかりも仙崎の部屋に乗りこめばいいじゃん。なんでそうやって、自分の気持ちを抑えこんだりするの?遥ちゃんに勝てないだとかって思ってるから?」
どうやらみっちゃんにだけは、私の『嘘泣きドッキリ作戦』が嘘だと見破られていたみたいだ…。
「いやそれは……」って言葉を濁していると、ラインの通知音がなった。
スマホのディスプレイを見ると、ラインの差出人は洋くんだ。
『アイツらがいたらうるさくてゆっくり麻雀なんかできねーわ。やめて今は枕投げやってる』
枕投げかぁ……。
キャーキャー騒ぎながら、洋くんがはるちゃんや神田さんと枕を投げあう姿が目に浮かぶ。