この手だけは、ぜったい離さない
「押してもダメなら引いてみよう作戦だよ、あかり。恋愛には駆け引きが大事だからね」
「そんな作戦しなくてもいいっ!」
洋くんには、さっきのラインは全部みっちゃんが悪ふざけで送ったんだって説明しよう。
楽しく遊んでいるときにごめんねって謝ろう。
洋くんに『さっきのはみっちゃんが…』と文章を打ちこんでいる途中で、洋くんから『明日なら大丈夫。オセロ持ってきて。あかりには負けねーから』という返信がきた。
えっ、なになに…?
明日なら大丈夫って?
えっ、ということは……部屋に来てもいいよってこと?
「みっ……みみみみっちゃん!これっ、洋くんがっ!明日なら大丈夫だって……!」
洋くんとのトーク画面を慌ててみっちゃんに見せると、みっちゃんは「ほら、作戦大成功」ってピースをしながら笑った。
洋くん、今朝私がみっちゃんとオセロ対決をしたいって話していたこと…。
後ろからちゃっかり聞いてたんだ…?
「うわぁ……どうしよう、すっごく嬉しい…。だって私、洋くんとオセロしたことないんだもん…」
「いやいや、まずは仙崎に会えることを喜べって」
「あっ、洋くんに会えることももちろん嬉しいんだよっ⁉でも私、オセロ大好きだからつい…」