この手だけは、ぜったい離さない
クスクス笑いながら教えてくれた戸賀さんは、淡い茶髪のセミロングヘアをポニーテールにしていて体操服もばっちりで準備万端。
園崎さんも、筒原さんも谷口さんも、みんなもう準備はできているみたい。
神田さんに至っては、メイクまで終わらせているし…。
「うわぁーんっ、みっちゃん!どうしてもっと早く起こしてくれなかったのよぉぉっ」
「何回も何回も起こしたけど起きなかったのはアンタでしょ!ヘアアイロンなんかしてる暇ないよ!早く着替えて行くよ!」
……仕方がない。
跳ねた前髪はヘアピンであげて、ところどころ先端がカールしたセミロングの髪はヘアアイロンで伸ばす時間はないし。
跳ねた髪のまま行くしかないかぁ…。
さっと体操服に着替え、笑い者にされないか不安に思いながら部屋をでた。
「あれ、あかり。なんか今日髪の毛跳ねてね?」
芝生広場につくと、大勢いる生徒の中に紛れ荒井くんと多津くんと一緒にいる洋くんと目があった。
「あはは……うん、私寝癖がいつもすごいの」
うわぁ……恥ずかしい。
ラジオ体操が終わったあとで急いでヘアアイロンで直そうと思ってたのにぃ。
よりによって何で、洋くんに見られちゃうのーっ⁉