この手だけは、ぜったい離さない



すると荒井くんとも目があって「ぷっ……はははは、髪型爆発してんじゃん!」とかって大笑いをされてしまった。



あぁ……恥ずかしい。

荒井くんが私を指さしたりなんかするから、周りのクラスメイトたちから見られてる…。



私が顔をさっと俯けると、洋くんがすかさず「テメェ笑ってんじゃねー!」と声を荒げながら、荒井くんの肩を平手で叩いた。



洋くんは私を庇ってくれているの…?

私の変な髪型を見て笑わなかったのは、みっちゃんと洋くんだけだよぉ…。



「いってぇなぁこのやろう!だってアレぜってぇおかしいだろ!」

「あぁ?おかしいのはテメェの頭と目だろうが!」



って、優しさに感動してる場合じゃないな。

なんて……またまた、洋くんと荒井くんがケンカをはじめてしまい…。



「洋っ、ノリ!ケンカはやめろよ」



と多津くんがなだめてくれるものの。

洋くんと荒井くんのケンカは、担任が止めに入るまで収まることはなかった。



「ぷっ……仙崎のやつ、相変わらずあかりにだけは優しいねぇ」

「嬉しいんだけどね…」



また私のせいでふたりがケンカになってしまった罪悪感がはんぶん。

洋くんが庇ってくれて嬉しい気持ちがはんぶん。



複雑な気持ちを抱えたまま、朝のラジオ体操は終わった。



< 153 / 228 >

この作品をシェア

pagetop