この手だけは、ぜったい離さない
食堂でクロワッサンと生野菜サラダ、オムレツやウインナーをしっかり食べたあとは。
グループにわかれて、お昼ご飯のカレーを作るために野外炊事場へ。
野外炊事場には石造りのながーい手洗い場が両端にあって、それぞれ蛇口が30個くらいついていて。
6人がけの木製テーブルは、ぜんぶで50台ほどあるっていう巨大な野外炊事場になっている。
広い敷地内に3箇所あるらしいうちのひとつで、4組の生徒たちも私たち3組の隣でそれぞれ作業にとりかかった。
「有坂さんと宇月さんは、野菜を切るのをお願いするね。手とか切らないように気をつけてね」
「うん、ありがとう追野くん」
「じゃあ僕は、荒井くんと一緒に飯盒でご飯を炊くよ」
料理は得意だからねっ。
ここは私の腕の見せどころだな。
「じゃあ私はジャガイモとニンジンを切っていくね。あかりは玉ねぎを切って、リンゴをすりおろす係ね」
「うん、わかった」
木製のテーブルにみっちゃんと並んで立った。
白いまな板を置いて、野菜を並べた中から玉ねぎを掴み慣れた手つきでサクサク包丁を入れていく。
「ちょっ……玉ねぎの汁で目が痛い。もうちょっと離れた場所でやってよ」
「我慢してよみっちゃん、私だってさっきからずっと目が痛いんだからぁ〜」