この手だけは、ぜったい離さない
お腹が満たされたあとは、野外炊事のときと同じグループに別れてウォークラリーをするみたい。
先生から配られた地図を見ながら、15箇所あるチェックポイントをそれぞれ回ってクイズを解いていくらしい。
チェックポイントを回る順番は自由で、制限時間は3時間。
16時までにどれだけチェックポイントを回れるか、あとはクイズが正解しているだとか、早くゴールできれば追加点があったりだとかを点数形式にして競うんだって。
ちなみにウォークラリーは、私がこの合宿でいちばん楽しみにしていたイベントなんだっ。
地図を班長の追野くんに托して、スタート地点の芝生広場から他のクラスの子たちもみんな一斉に歩きはじめた。
「とりあえずこのアスファルトに沿って、山を下っていかなきゃ行けないよね」
「うん、そうね。じゃあまずは1番のチェックポイントに行ってみる?ここからいちばん近いし」
ふんふん……なるほど、1番のチェックポイントは山を下る途中にある赤い橋の上にあるんだぁ。
「そうだね有坂さん。それがいい」と言って地図を片手に歩きだした追野くんのあとを、みっちゃんと私もついて歩きはじめた。
「えっ……あれ?荒井くんは?ついさっきまで一緒に地図を見てたのに…」
宿舎の広い敷地から出て山を下りはじめたところで、荒井くんだけひとり違う方向に歩いていることに気がついた。