この手だけは、ぜったい離さない



そんなことよりも、まーた洋くんと荒井くんのケンカがはじまっちゃったなぁ…。

私の前から離れた洋くんは、荒井くんに掴みかかったりなんかしてるし…。

相変わらず、ケンカするほど仲がいいふたりだな。



「あっ、ねぇ宇月さん。有坂さんがウォークラリーの途中に撮ってくれた写真を送ってくれたんだけど見れた?」

「ん?あぁ、れんげ畑のやつだよね?見れたよ」

「そうなんだ。どういうわけか僕のスマホからはうまく表示されないんだよな」

「えー、そうなの?なんでかなぁ?」



れんげ畑をバックにして爽やかに笑いながらピースをする追野くんと、その隣でぎこちなく笑っている私とのツーショット。



れんげの花も綺麗に撮れてるし、追野くんもすっごくいい笑顔で撮れてる。

だけど、私ってほんと笑顔がかたくてぜんぜん可愛くないな…。



「この写真のことだよね?」って追野くんに見せていると。



「なになに?ふたりして仲良さげになにを見てんの?」



散々言い合いをして疲れたのか、再び麻雀をはじめた荒井くんから離れた洋くんが追野くんの隣から私のスマホを覗きこんできた。



「ウォークラリーの途中で有坂さんが撮ってくれたんだよ。ね、宇月さん」

「うん、そうそう!れんげ畑がすっごく綺麗だったんだよね」



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