この手だけは、ぜったい離さない



うぅ……顔が焼けるように熱くなってきた。

私、いまぜったいに顔が茹でタコみたいになってる…。



「よし、撮れた撮れた。ほら、見てみろよあかり」



私はこんなにもドキドキしてしまって平常心でいられないのに…。

洋くんは恥ずかしがる様子もなく。

私の肩を抱いていた手をぱっと離し、私と洋くんが並んで映る写真を笑いながら見せてくれた。



洋くんのスマホの中に映る私……ぜんっぜん笑ってないし…。

っていうか、やっぱり顔が真っ赤になってるじゃんかぁ……。

ほんとに茹でタコじゃんか。



「あっ……うん、ありがと!あとでラインで送ってね!」



写真の中の洋くんは右手を私の肩に回しながら、ニッと口の端をあげてクールに微笑んでいて。

やっぱり洋くんってかっこいいなぁ、なんて思ってしまった。



「で、トランプだっけ?なにやりたい?」と、洋くんがスマホをポケットにしまったその直後のこと…。



「洋ーっ、今日も枕投げやらない?」



部屋の扉が勢いよく開いたかと思うと、ハイテンションのはるちゃんと神田さんが入ってきた。



「……って、あれ。あかりちゃん来てたの?」



にこにこ笑っていたはるちゃんだけど、私と目があった瞬間に笑顔がなくなった。

神田さんも目を丸くさせながら「仙崎くんとトランプしてたの?」と言って驚いている。



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