この手だけは、ぜったい離さない
「ぷっ……くくくくっ!」
「おい遥、俺がカード引いた瞬間に笑ってんじゃねぇよ」
「だって洋がいきなりババ引いたりするんだもんっ」
「それを言うな、アホか。バラすな」
「アホじゃないもーん」って洋くんの頬を人差し指でつつくはるちゃん。
洋くんは「ウザイ」って言ってはるちゃんの手を払いのけたけど…。
なにこれ、もうカップルのやりとりじゃん。
神田さんは手を叩きながら大笑いをしてるけど、こんなのぜんっぜん楽しくないよっ。
あーあ……。
今夜は洋くんと会えるからって、昨晩からずっと楽しみにしてたのになぁ。
まだ洋くんとはオセロを1回して、写真を撮っただけであんまり話せてないっていうのに……。
はるちゃんが来てからというもの、洋くんとまったく話せなくなっちゃった。
悔しいけど……やっぱり私が入りこむ隙なんてないみたい。
「ねぇ、次は大富豪しようよ。なんか懸け勝負しない?」
「おっ、それいいねぇ乃衣!じゃあ大富豪の人には、洋がジュース奢るってことね!」
「おい待て、お前ら。俺だけが損するルールを作るな」
……やっぱりこんなの、ぜんっぜん面白くなーいっ!