この手だけは、ぜったい離さない
「おっ?ついに覚悟を決めたんだね?」
「うん……。今日の放課後、洋くんに一緒に帰ろって言ってみる」
通いなれた田舎道を歩きながら、私は洋くんのことが好きですってちゃんと言う。
私が『好き』って口にしたその瞬間、これまでに築きあげてきた関係が終わってしまうかも。
気まずい関係になってしまうかも。
もう目を合わせてくれることもなくなるかもしれない。
だからといって失敗を恐れて、このままずっと友達でいるよりかは。
怖いけれど勇気をだして、洋くんに『好き』だって言いたい。
私が『好き』って言うことで、洋くんが私のことをどう思ってくれているのかが知れるんだから。
例えその結果が悪かったとしても、それって大きな収穫だし、経験値にもなるんだもんね。
「がんばれ、あかり」
みっちゃんに背中をバシッと叩かれ、パワーをもらった私は登校してすぐ、教室の中で荒井くんと話す洋くんの姿を見つけたから声をかけてみた。
「洋くん、荒井くんと話してるところごめんね?今ちょっといいかなぁ?」
洋くんは私と目が合うなりニコッと微笑んで、「なに?いいよ」って席を立った。
「あのね、今日の放課後…一緒に帰れるかな?」
周りのクラスメイトに聞こえたら恥ずかしいから、小声で聞いてみた。