この手だけは、ぜったい離さない
「え……一緒に?あぁ、そりゃあもちろんいいけど…?」
洋くんってば……私が急に誘ったりしたから驚いてる。
急に恥ずかしくなってきた私は「じゃあ放課後、校門で待っててね!」と行ったあとトイレに逃げこんだ。
よーし……言えた。
あとは放課後、洋くんに好きって言うだけだ。
でも…。
洋くんに告白をする前に、洋くんに告白するんだってことを話さなきゃいけない人がいる。
女子トイレの洗面台の前で手を洗いながら、神田さんと楽しそうに喋っているあの子。
「あっ、はるちゃん。今日の放課後なんだけど……ちょっと話したいことがあるんだけどいいかなぁ?」
「ん?話したいこと?いいよー、じゃあどこで話す?前に一緒に行った公園?」
「いや……今回は、屋上で」
はるちゃんは「屋上?うん、わかったよー」と笑顔で頷くと、神田さんと揃ってトイレをでた。
はるちゃんには、洋くんはいちばんの友達だって言った。
だけど本当は、洋くんのことをずっと前から好きだったのって私の正直な気持ちを話したい。
こんなことを言えば、はるちゃんは「洋は私のよ!」って怒ってしまうかもしれないけど…。
だからといって、このまま洋くんに告白するのは、はるちゃんにコソコソしているような気がして…。
はるちゃんは友達だから、隠しごとはしたくないんだ。