この手だけは、ぜったい離さない
「うんっ……うん、私も洋くんのことが好きだよ。洋くんと一緒にいると楽しくて、気分が落ちこんでいるときも笑顔になれるの。安心するの。その気持ちこそが恋なんだって、ようやく気づけたの。だから私も、もうずっと前から洋くんのことが好きだったよ」
洋くんは「そうか……そうだったのか」と、目を丸くさせて驚きながらも、でも安心したような声で呟いた。
「つーかなんだよ、好きってことにようやく気づけたって?」
こみあげてくる笑いに耐えられなくなったのか、いきなりぷっと吹きだすとゲラゲラ笑い声をあげる。
大きな口をあけて「それなのにずっと前から好きだったって、どんだけ鈍感なんだよ?」って豪快に笑うもんだから。
私も誘われるようにして「ごめんね、恋愛には疎いみたい」って笑顔になった。
そしてまた、こう思うんだ。
やっぱり私は、洋くんのことが好きだなぁって。
洋くんがそばにいてくれるだけで、それだけで笑顔になれる。
涙だってすぐに乾いてしまうんだ。
「洋くんのことが大好きです。私を、洋くんの彼女にしてください」
やっと言えた…。
やっと、洋くんに自分の想いをぶつけることができたんだ。
小心者の私がやっと想いを伝えられたっていう達成感と安堵感が、同時に押しよせてきてまた泣きそうになってしまう。