この手だけは、ぜったい離さない



スクールバッグから薄ピンク色の長財布をとりだして、中をみるとそこには1500円ほど入っている。

よかった…これなら何か食べれるかな。



「金の心配してんの?それなら俺が出すから何も考えなくていいよ」

「えっ⁉でもっ、そんなの悪いからいいよ!」

「なんで?別に遠慮なんかいらねぇって。つーか誘った時点で奢るつもりだったし」



洋くんは首を横に振り続ける私をみおろしながら「給料でたばっかりだし、少しは金もってるから」とけらけら笑った。



「そうなの?バイトしてるんだ?」

「土日だけ、とび職やってんだよ」

「とび職って高いところで足場とか組んだりする仕事だよね?すごいなぁ…」



……って、うちの高校。

バイト禁止なんだけどね…ははは。



洋くんと話していると、ファミレスまでの徒歩30分の距離もあっという間だった。



中に入ると同じネイビーのブレザーを着た生徒がたくさんいる。

その他にも、キャメル色のブレザーを着たこのあたりにある女子校のギャルたちであふれかえっていた。


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