この手だけは、ぜったい離さない



「あかり、あの奥側の窓際の席行こう。って、そこしかあいてないか」

「あっ、うんそうだね。ちょうどお昼どきだから、すごい混んでるね」



なんか……お客さんの半分は、キャメル色のブレザーのギャルばっかりだなぁ。

大声で話してたりスマホで音楽をかけてたり、メイクしてたりって自由にやってるけど…。



このあたりにある女子校は評判があまりよくないってお母さんが言ってたんだけど、なんとなくその理由がわかったような気がする…。



ちょっと怖いなぁ…。



びくびくしながら洋くんの向かいに座ると。



すぐ隣の席に同じように向かいあって座っていた金髪のギャルのうちひとりが、いきなり立ちあがって洋くんを指さした。



「あぁーっ‼誰かと思えば洋じゃん!」



えっ、なにっ、びっくりした‼

なになに、このギャルは洋くんの知り合い?



洋くんとほとんど同じタイミングで右を向くと、長い金髪をくるくるに巻いているギャルと目があった。

その隣にも、おんなじように金髪でアイメイクが濃いギャルがこっちを見てる……。


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