この手だけは、ぜったい離さない
チーズインハンバーグ美味しそうだなぁ。
ベーコンとペンネのグラタンも大好き。
決まらないなぁ。
……って、洋くんたちの会話が気になってメニューどころじゃないよっ‼
この子が彼女なわけないってさ…。
それってつまり、かっこいい洋くんに私がつりあってないってことよね。
さり気なく貶されてるよね……。
「……彼女じゃねぇけど。つーかお前らもう話かけてくんなよっ。今はあかりと来てんだから」
洋くんは「なにそれヒドイ」なんて頬を膨らませているアリサさんからツンと顔を逸らした。
そして「何か決めた?」って私が両手にもっているメニュー表を覗きこんでくる。
このまま私なんてそっちのけで、ふたりのギャル友達と昔話に花を咲かせたりなんかして盛りあがるんだろうなぁ。
そう思うとすっごく帰りたい気分だったけど…。
洋くんが笑いかけてくれたから、なんだかほっとした。
「えっ……?あっ、ごめん。もうちょっと待ってね」
「いいよ、ゆっくり決めてくれたら。俺も決めるの遅いし」
「じゃあ真ん中に置くから一緒に見ようよ?」