この手だけは、ぜったい離さない
✱✱✱✱✱✱✱✱
「昨日は一緒に帰れなくてごめんね、あかり。今日は大丈夫だから」
「ううん、ぜんぜんいいよみっちゃん。啓太くんとのデート、楽しめた?」
翌朝。
バス停の隣にある青いベンチでみっちゃんの姿を見つけた私は、手を振り返しながら笑顔で駆けよった。
みっちゃんは「まぁまぁ楽しかったよ」なんて頬を赤らめながら笑っている。
いいなぁ、みっちゃん。
よほど楽しかったんだろうなぁ。
でも、私だって昨日は楽しい1日を過ごしたんだもんね。
「みっちゃん、実は私も昨日ねっ!洋くんと一緒にお昼ごはん食べたんだよ〜」
みっちゃんがあんまり幸せそうで羨ましかったから、私だって!と負けじと昨日のことを話してみた。
……っていっても、私と洋くんはただの友達同士だから『デート』とは違うんだけど…。
「えっ、はっ⁉仙崎とファミレス?そのあとここまで送ってもらったっ⁉」
「うん……うん、そうなの」
みっちゃん、ぜったいに驚くだろうなぁとは思っていたんだけど。
目玉が飛びだしてきそうなほど、そこまで驚くこと……?