この手だけは、ぜったい離さない



バレンタイン……。

ってことは、今からだいたい2ヶ月くらい前の話かぁ。



洋くん、モテるだろうなぁとは思っていたけど。

南海さんのような美少女に告白されただなんてすごい…。



「遥ちゃんが付き合ってくださいって野次馬の前で言ったんだけどね」

「うんうんっ…洋くんはなんて返事をしたの?」



話しを聞いていただけなのに、なんだか私もドキドキしてきた…。

だって告白したとかされたとか、勉強ばかりの地味な学校生活を送っていた私には経験のない話しなんだもんっ。



「それがね、今までの告白をぜんぶ秒殺で断っていた仙崎がねっ!ちょっと考えさせてくれ、って言ったのよ‼」

「さすがの洋くんも揺らいじゃったのかな。南海さん、ほんと可愛いもんねぇ」



洋くんもかっこいいし、そんなふたりが並んで歩いたら絵になるんだろうな。



それに比べて私ときたら…。

チビだし手足は短いし、顔だってまんまるだし…。

お世辞にもキレイとは言えない容姿だもんな。



そんな私が洋くんの隣を歩いていたなんて、今さらだけど恥ずかしくなってきた。


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