この手だけは、ぜったい離さない
「……それなら仙崎とあんまり仲良くしたらダメだよ、あかり」
「え?なんで?洋くんと私は友達なのに?」
みっちゃんはいつになく真剣な顔で頷いた。
「さっき話したとおり、遥ちゃんはまだ仙崎のことが好きなんだよ。だから遥ちゃんの反感を買うようなことはしない方がいいよ」
反感を買うようなことっていうのは、ふたりきりで出かけたりすることを言っているのか。
まぁ確かに……好きな人が違う女の子と一緒にいる瞬間を見てしまうと、やきもちを焼いてしまうっていうのはわかるけど…。
「でも、本当にただの友達同士だよ?ふたりで出かけたのもごはん食べて送ってもらっただけで、なーんにもないんだよ?」
「周りからはそうは見えないのよ、あかり。特に遥ちゃんからすれば、ふたりは付き合ってるのかなって心配するんじゃないかな」
「そっかぁ…。そうなのかぁ…」
本当に付き合うとか、ぜんっぜんそんな関係じゃないんだけどな。
でも硬派な洋くんが女の子と出かけるってこと自体が、すごく珍しいことなんだろうからそう思われるのも仕方がないのかな。
「可愛いからって遥ちゃんを慕う子はたくさんいるからね。私はなにがあってもあかりの味方だけど、そうは思わない子がいるってことを忘れないでね」