この手だけは、ぜったい離さない
「あっ、あかり」
でも話しかけてみようかなって思って、洋くんたちのすぐ後ろまで来たとき。
私が声をかけるよりも早く、私の存在に気付いた洋くんが先に声をかけてきた。
「あっ……洋くんも今から帰るところ?」
「うん、そう。あかりもこれから帰んのか?それなら一緒に帰らねぇ?」
「え?でも……」
一緒にって……隣にいる見るからにヤンキーなお二方は…?
ちらりと洋くんの友達を見ると、ふたりとも私をじっと見ている。
「あぁ、タツヤとカズとはここで会ったから立ち話してただけだよ。な?」
洋くんが同意を求めるようにふたりを見た。
「……え、今日はこれから俺ん家に行こうって話しだったじゃん」
と、すかさず洋くんにつっこんだのはタツヤくん。
明るい茶髪に、ちょっと身長が低くて、でも目がくりっとしてるから怖いってよりは可愛いなって思ってしまった。
「そうそう。あとは荒井も呼んで、夜まで遊ぶかって話しだろ?なにがあかり、一緒に帰らねぇ?だよ、バカ」
すると、カズくんもむっと口を尖らせている。
彼もまた金色に近い茶髪で、でもタツヤくんとは対象的で背が高くて。
切れ長の目が男らしいから、タツヤくんとは凸凹コンビだなって思った。
……って、洋くん。
ぜんっぜん立ち話してただけ、じゃないじゃんっ!
これから一緒に遊ぶんじゃん!