この手だけは、ぜったい離さない
そうだとしたなら嬉しいなぁ…。
だってそれって洋くんも、私と一緒に帰るのを楽しいって思ってくれているってことだもんね?
「ふふふ……ありがとう、洋くん」
「なっ、なに笑ってんだよっ。ほら、俺たちもさっさと乗るぞ」
「俺たちは邪魔みたいだな」なんて笑いながらバスに乗ったタツヤくんとカズくんを追うように、私と洋くんもバスに乗った。
洋くんの隣に座ると、肩がちょっと触れてしまうからドキドキするんだよなぁ…。
この距離感にはいつまで経っても慣れないかも。
っていうか洋くんって、なにか香水でもつけてるのかな。
爽やかないい臭いがする…。
そんなことをぼーっと考えつつ、洋くんとも会話を交えつつ。
バスは『ホタルの里公園前』で停車した。
「じゃあな、洋。ごゆっくり〜」
「まぁ来るのは遅くなってもいいぞ?だってお前が女と一緒に帰るなんかなかなかないもんなぁ?」
洋くんは「笑ってんじゃねぇ、さっさと降りろ」とかって悪態をつきながらも、しっかり手は振っていて。
「あはは、洋くんたちってほんっと仲良しだよね」
なんだかそんな関係が羨ましいなって思うと、また笑ってしまった。