この手だけは、ぜったい離さない



ほどなくして、タツヤくんとカズくんを降ろしたバスはまた走りだす。



「まぁアイツらとは、中1のころからの仲だからな。ちょいちょいウゼェけど、それでもマジなケンカはしたことねぇな」

「いいなぁ。私なんてまだクラスに馴染めなくてさ、話せる友達ってみっちゃんと洋くんくらいだからなんい羨ましいなぁ」



前に住んでいた都会には、仲のいい友達はたくさんいるんだけどなぁ。



特に去年の、3年2組の女の子たち15人でライングループをつくっていて。

未だにラインでグループトークをしているくらい、仲良しなんだから。



お調子者のよっちゃんとか、クールビューティーなナツキとか、ど天然なリナちゃんとか。

他にもたくさん、また会いたいなって思う友達がいる。



「……都会の友達が恋しくなったのか?」

「うん……まぁ、ちょっとね」



ちょっと、じゃないか。

すっごく恋しいって思ってる。



3年2組のラインのグループトークを見ると『今日遊べる人〜』だとかって頻繁に言ってて。

今度みんなでカラオケ行こ、とかって盛り上がってて。

だけど私は遠くに引っ越しちゃったから『私も行けたらいいのに』って返すことしかできなくて。



この町に戻ることを楽しみにしていたのに、いざ戻るとやっぱり3年2組のみんなに会いたいなって…。

そんな感じで、寂しく思う瞬間が増えた。


< 68 / 228 >

この作品をシェア

pagetop