この手だけは、ぜったい離さない



洋くんと一緒にお菓子を買いに来ていたときは、狭いなんて思わなかったのにな…。

6年も経ったから、それだけ私たちが大きくなったってことだろうなぁ。



なんだか時が経つのって早いなぁと思うと、ちょっぴり寂しくなった。



「で、なに買うの?やっぱりアレか、あのヨーグルトのやつか?」

「ふふふふっ、もちろんっ!洋くんも何か買う?」

「え、俺?うーん……」



洋くんは悩みながら、陳列台の端から端まで目を巡らせている。

私はやっぱりヨーグルトのお菓子、と20円のソレを3つ手に取った。



そんなタイミングで「おやおや、あかりちゃんじゃないか!久しぶりだねぇ」と、お店の奥からニコニコ笑顔の70代くらいのお爺ちゃんがでてきた。



「あーっ、お爺ちゃん!お久しぶりですっ!」

「なんかまたこっちに戻ってきたって聞いとったけど、本当に戻ってきてたんだねぇ。いやぁ、大きくなったねぇ」



会計カウンター越しのお爺ちゃんの笑顔は、笑うと目が線みたいになって。

それが6年前となーんにも変わってなくて。



「うん…うん、このお店がなくなっちゃうって聞いたから会いに来たよ。お婆ちゃんにも会いたかったな」



お爺ちゃんの目尻が垂れ下がった笑顔を見ていると、お婆ちゃんのことを思いだしてしまって胸がじんわりと熱くなった。



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