幾千夜、花が散るとも
気が付くと、子供達を連れて散歩するいつもの公園のベンチに座り込み、ぼんやりしていた。『おかえり』も言わずに殴ったな・・・・・・。自嘲の笑みを零す。

可南は、十也や莉奈が生まれてからよく笑うようになった。千也が帰るのを信じて、ひたすら待つのを決めたんだと分かった。

母親であることが、可南を壊さずにいた。
可南は千也を愛し続けた。

俺は毎晩、可南を抱いた。憶えさせて、千也を思い出させないように。いいところを探って責めて、なにも考えさせないように。

俺の名前を呼びながら、縋りつきながら。可南はちゃんと俺も愛してくれた。わかってる、知ってる。

もう。このまま四人きりでいいだろ、って何度も何度も心の中で可南に叫んだ。
千也がいなくても、俺だけでいいだろって。

呪いをかけて、毎晩抱いた。
最低なのは俺だ。千也と同じくらい。・・・それ以上。

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