幾千夜、花が散るとも
酷いのは俺。わざと可南を困らせる。傷付ける。痛くて苦しいほうが、可南をいっぱいにして忘れなくなる。そうやってずっと、少しでも長く可南を独り占めすることばかり考えてた。

可南。もっと俺のために泣いて。

もっと悲しんで。

辛くなって。

懺悔しながら。

俺を一生愛さなきゃ赦さない。

「・・・可南」

可南の頬を今度は俺が包み返してキスをする。唇をこじ開けて舌で応えさせる。

いいよ千也、どんなに可南を抱いても。俺がすぐに思い出させる。可南は俺に償わなきゃ駄目なんだよ、千也を愛した罪を。

三人でいたいって言いながら、平等に愛してくれない罪を。二番目に俺を愛した罪を。
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