幾千夜、花が散るとも
真夜中でもなかったら。こんな風に千也と話す気にもなれなかっただろう。
吸い殻を携帯灰皿に放り込むと素っ気なく。
「少しくらいは可南にも、なんでいなくなったのか話してやりなよ」
「うん」
「・・・顔を殴ってごめん」
「一也の愛のムチは効くネ」
クスリと返った。
あ。そう言えば。言い忘れていたのを今になって思い出す。
「・・・おかえり千也」
「ただいま」
「可南は渡さないから覚悟しろ」
返事は聞かずに踵を返した。花も月もない夜だった。
【完】
吸い殻を携帯灰皿に放り込むと素っ気なく。
「少しくらいは可南にも、なんでいなくなったのか話してやりなよ」
「うん」
「・・・顔を殴ってごめん」
「一也の愛のムチは効くネ」
クスリと返った。
あ。そう言えば。言い忘れていたのを今になって思い出す。
「・・・おかえり千也」
「ただいま」
「可南は渡さないから覚悟しろ」
返事は聞かずに踵を返した。花も月もない夜だった。
【完】