幾千夜、花が散るとも
酔っ払いが騒がしい居酒屋みたいのだったらヤだなと思ってたら。会社の最寄り駅近くの繁華街にあるその店は、ビルの5階にあって穴場なのか、お客さんもまばらだし、和の趣のある落ち着いた雰囲気のお店だった。
みなみ先輩の同期だっていう商品開発課の男性二人と、仕入れ企画課の女性一人、総務のみなみ先輩とあたしの5人。・・・・・・同期会に後輩が雑じってどーすんだ。思わずツッコミたくなる。
「開発課の芹沢悠斗(せりざわ ゆうと)です」
「飯田紀之(いいだ のりゆき)です」
「仕入課の坂東愛里(ばんどう あいり)です」
「総務の北原可南子です。・・・えーとすみません、いきなり同期会にお邪魔しちゃいまして」
全てはみなみ先輩の陰謀だけど、ここはオトナ対応で。申し訳なさそうに恐縮して見せた。
「あー、いいのいいの。芹沢君が北原さん呼べ呼べって、うるさかったんだから」
温かいお手拭きで手を拭きながら、坂東さんがサバサバと言う。
仕入れ課は外回りもあるらしく、彼女は制服じゃなく通勤からリクルートスーツなんだそう。ミディアムロングくらいの髪を一つに束ねた、すっきり目な美人さん。ちょっと丸顔で、いつも賑やかなカンジのみなみ先輩とは対照的というか。
「・・・坂東、余計なこと言わなくていいって」
「カッコつけたってしょうがないわよ今更」
6人掛けの席で、あたしとみなみ先輩の向かいに三人が座ってる図。端っこ同士の芹沢さんと坂東さんのやり取りを全く無視して、飯田さんがあたしに話しかけてくる。
「芹沢、こないだ彼女と別れちゃってねー。可哀そうだから、まあ飲みぐらい付き合ってやって?」
「あーそうなんですかぁ?」
いやだから、どーしろと? 思いっきり乾いた愛想笑いで。
ただ料理はどれも美味しい。焼き鳥がメインだけど、鳥わさとか、だし巻き玉子も絶品。上司の愚痴とか他の課の噂話とか色んなものを肴に、それはそれで案外気兼ねなくお喋りにも雑じれてた。
「でさ。北原さん彼氏いるの?」
もうそろそろ切り上げたいなぁって頃。ほろ酔い加減の坂東さんが、恐らくは芹沢さんの為に、話の合い間を狙ってわざと軽い感じに訊いてきたのを。
「んーと、好きな人はいるんですけどねぇ」
曖昧に笑って誤魔化す。
みなみ先輩の同期だっていう商品開発課の男性二人と、仕入れ企画課の女性一人、総務のみなみ先輩とあたしの5人。・・・・・・同期会に後輩が雑じってどーすんだ。思わずツッコミたくなる。
「開発課の芹沢悠斗(せりざわ ゆうと)です」
「飯田紀之(いいだ のりゆき)です」
「仕入課の坂東愛里(ばんどう あいり)です」
「総務の北原可南子です。・・・えーとすみません、いきなり同期会にお邪魔しちゃいまして」
全てはみなみ先輩の陰謀だけど、ここはオトナ対応で。申し訳なさそうに恐縮して見せた。
「あー、いいのいいの。芹沢君が北原さん呼べ呼べって、うるさかったんだから」
温かいお手拭きで手を拭きながら、坂東さんがサバサバと言う。
仕入れ課は外回りもあるらしく、彼女は制服じゃなく通勤からリクルートスーツなんだそう。ミディアムロングくらいの髪を一つに束ねた、すっきり目な美人さん。ちょっと丸顔で、いつも賑やかなカンジのみなみ先輩とは対照的というか。
「・・・坂東、余計なこと言わなくていいって」
「カッコつけたってしょうがないわよ今更」
6人掛けの席で、あたしとみなみ先輩の向かいに三人が座ってる図。端っこ同士の芹沢さんと坂東さんのやり取りを全く無視して、飯田さんがあたしに話しかけてくる。
「芹沢、こないだ彼女と別れちゃってねー。可哀そうだから、まあ飲みぐらい付き合ってやって?」
「あーそうなんですかぁ?」
いやだから、どーしろと? 思いっきり乾いた愛想笑いで。
ただ料理はどれも美味しい。焼き鳥がメインだけど、鳥わさとか、だし巻き玉子も絶品。上司の愚痴とか他の課の噂話とか色んなものを肴に、それはそれで案外気兼ねなくお喋りにも雑じれてた。
「でさ。北原さん彼氏いるの?」
もうそろそろ切り上げたいなぁって頃。ほろ酔い加減の坂東さんが、恐らくは芹沢さんの為に、話の合い間を狙ってわざと軽い感じに訊いてきたのを。
「んーと、好きな人はいるんですけどねぇ」
曖昧に笑って誤魔化す。