幾千夜、花が散るとも
 さすがゴールデンウイーク、途中から高速道路は渋滞でノロノロ運転に。一也がスマホでルートを検索しながら、カーナビをスクロールさせて千也と何やら相談中。

「可南、次のインターで下に降りるよ。けっこう大きいフラワーパークがあるから、そこ寄ってみる?」

「行く!」

 一也の横顔に即答。今の時季は花盛りで、かなり見応えがあるらしい。

「千也、運転疲れてない? 大丈夫?」

 反対向くと。片手運転で「大丈夫」って、空いてる左手が器用にあたしの頭を撫でた。

 昨夜は千也は仕事に出てたから、帰って来たのは深夜の2時過ぎだった。起きたのは8時くらいだけど身体はきちんと休まってないだろうから。

「案外タフだよオレ」

「・・・知ってる」

 ぶっ通しで何時間あたしを抱いたっけ。

「でも今日は一也もいるんだし。ね?」

「無理すんなよ千也。事故るよりマシだろ?」

 同意を求めると、一也も素直に。

「・・・ハイな」

 妹と弟に労わられた千也は、少し困ったように・・・嬉しそうに。



 他愛もないやり取りだけどなんか。あたしはシアワセで。
 ずっとこうしてたいなって。
 三人でいないとあたしは生きてけないなって。
 ・・・いつにも増して実感してる。
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