幾千夜、花が散るとも
 澄み渡った蒼穹。広い公園を敷き詰めるポピー、アネモネ、芝桜。色とりどりの可憐な花達。 
 ココロ癒される光景の中でも、それを差し置いて一番の目を惹きつけてるツーショット。無造作に髪をハーフアップにした長身の甘いワイルド系美男子と、キレイなのにナチュラルでクールな王子様系美男子。
 いい陽気に、千也はジャケットの袖を、一也は羽織った長袖シャツの袖をまくって。袖口から覗く腕時計の嵌まった手首に色気を感じてる・・・って。マニアックか、あたしは。 
 
「・・・あのう、すみませんっ、写真撮らせてください・・・っ」

 あたしがちょっと二人から離れると、女の子達からはにかんだ声が掛けられる。うんまあ、こんなツーショットは滅多にお目にかかれないだろうし、一生の記念にどーぞ?

 一也が嫌そうにそっぽを向き、千也は愛想良く相手してあげて。元ホストはあしらい方も手馴れてる。

「次から有料にしよっか、撮影会」

 間に挟まって歩き出しながら笑ったら。

「・・・なら可南も逃がさないよ?」

 横目で睨んだ一也は、離さないとばかりにあたしの手を力込めて握った。

 片方は手を繋ぎ、片方は腕を絡めて。行き違う視線はどれも両サイドをさり気なく掠めてく。 
 もちろん花も綺麗で目の保養になったんだけどね? 花より魅惑的な二人を独り占めにしてる気分も極上すぎて。つくづく神サマに感謝できた。

 あたし達を兄妹にしてくれたコト。それさえアリガトウ。って。


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