幾千夜、花が散るとも
「お前は違うの?」
あたしを抱く時の有無を云わせない口調で千也は言った。しばらくの沈黙があって「・・・言いたい事があるなら云えよ」と一也が低く答えた。
「オレの子が生まれたら」
千也の言葉一つ一つ、躰中の全神経を集中させてあたしは耳をそばだてる。
「兄弟が欲しい。一也とカナの子が」
刹那。あたしを抱き込む一也の腕にことさら力が籠もった。
「・・・・・・本気で?」
「冗談で言えないだろ」
「可南が言ったの?」
「訊かなくても知ってる」
千也が笑んだ気配。あたしは何も云えずに、ただ小さく頷いて見せるだけ。
ああやっぱり。見抜かれてた。そうやって千也はいつも先回りして、あたしの願いだけを叶えようとする。自分よりあたし。自分を後回し。こんな誰にも赦されない願いですら。
どうして分かっちゃうんだろ。
ねぇ千也。
千也の愛ってどこから生まれてくるの。
深くて。・・・深すぎて。
最初からまるで手の届かないとこにいるみたいで怖くなる。
あたしを抱く時の有無を云わせない口調で千也は言った。しばらくの沈黙があって「・・・言いたい事があるなら云えよ」と一也が低く答えた。
「オレの子が生まれたら」
千也の言葉一つ一つ、躰中の全神経を集中させてあたしは耳をそばだてる。
「兄弟が欲しい。一也とカナの子が」
刹那。あたしを抱き込む一也の腕にことさら力が籠もった。
「・・・・・・本気で?」
「冗談で言えないだろ」
「可南が言ったの?」
「訊かなくても知ってる」
千也が笑んだ気配。あたしは何も云えずに、ただ小さく頷いて見せるだけ。
ああやっぱり。見抜かれてた。そうやって千也はいつも先回りして、あたしの願いだけを叶えようとする。自分よりあたし。自分を後回し。こんな誰にも赦されない願いですら。
どうして分かっちゃうんだろ。
ねぇ千也。
千也の愛ってどこから生まれてくるの。
深くて。・・・深すぎて。
最初からまるで手の届かないとこにいるみたいで怖くなる。