幾千夜、花が散るとも
湯上りの火照りを冷ましつつ、サンルームでゆったりしたL字型ソファに身体を預け、シャンパン空けて。綿紅梅の蒼い浴衣と、ガラス越しに映る神秘的な夜の光景。億劫がらずに日常から抜け出すだけで、こんなに優雅で贅沢な時間も過ごせる。
千也は家じゃないからか、ボトルからグラスに注ぐ仕草だとか、甘い微笑みだとかが何げにホストモード全開。一也も甘えたがりモードが封印されてる。
「あたし達ってさ。兄妹じゃなかったらきっと・・・出逢えてなかったね」
何となく云ったら。
『そんなことないよ』
あたしを真ん中に挟んでまた見事にハモった。
3人が一つのベッドで眠るのも初めてだった夜。一也の腕枕で寝入ったつもりだったのに、朝目が覚めた時には千也にピッタリ引っ付いてた。愛情の磁力の差。・・・とか?