幾千夜、花が散るとも
幾千夜。花が散るとも、君を待つ。
「十也ぁ、ひとりで行かないのぉ!」

 先月で3歳になった小さな王子様は生き物が大好き。公園に来ると花、とか蝶とか散歩してるワンちゃんとか。隙あらば寄ってく。
 もう桜は終わったけど、今はつつじとか春の花が色とりどりに咲いてるし、十也の好奇心は満開だ。花見の時なんて風に舞う花びらと追いかけっこ始めて、さすがの一也も走り回る十也を追いかけて息を切らしてたっけ。てゆーか、この遺伝子ナニ? 千也ってそんなに理科好きだったかなぁ。

 1歳半になった莉奈(りな)はお昼寝中で、家で一也とお留守番。十也もお昼ご飯の後に昼寝させようと思ったのに、公園に行きたいって可愛くオネダリされて。甘い顔立ちは千也の遺伝子バッチリだけど、パーツで見ると鼻とか口許はあたし似の十也。

『かなぁ、ぼくとこうえん、いっしょにいってぇ?』

 今から上目遣いを憶えるなんて将来が不安です、ママは。

 ちなみに一也そっくりの莉奈は。どんなに他人からカワイイかわいいと褒められてもニコリともしない雪の女王。こっちも一也の遺伝子バッチリ。 
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