僕はただのbarのオーナーです
cocktail.5
翼side
『澪、本当に汐に話していいのかよ。』
トンっと音をたてて雫石のbarの屋根にのる。
仕事は少し前に終わって、俺は服装だけは白羽、澪はbarのオーナー仕様。
ちなみに、中にいる千里はバイトくん仕様だ。
寝そべって夜空を見上げていた澪はふっとその目を閉じた。
「まだ、分かんねぇ。」
『もうすぐ来るぞ。』
口調は本来のもので、澪に余裕がないことがわかる。
迷子……ね。
「汐は強いよ。
きっと、闇に打ち勝てるほどに。
でも…来て欲しくないんだよなぁ。」
『やっぱ、家族だから?』
「それもある。
けど、あの女の子供だろ。
〝ちゃんと血が繋がってるわけじゃねぇ〟んだもん。」