僕はただのbarのオーナーです
澪side
あの女の子供でも。
物心ついた時には弟としていた汐。
大好きだった家族。
大好きだった両親と弟。
いつの間にか、切り捨てなければならなくなってた存在。
いつの間にか、遠い彼方に行ってしまった存在。
手を伸ばしても届かなくて、走っても追いつけなくて。
けど、その事実にホッとしたのも事実で…
『ようこそ、雫石へ。
バイクはそちらに固めて止めてくださいね。
今日は特別に雫石所属ではない翼も来てもらってますので翼のバイクが目印になってますよ。』
翼のバイクも、僕のバイクも雫石にいつも置いたままなのです。
あまり使いませんし。
「俺たちは中で待ってるからー」
つくづくマイペースな翼。
まあ、一度入ってきたことがありますし、放っておいても大丈夫でしょう。