僕はただのbarのオーナーです
『誰か…たすけ……てっ…!』
「お、お前が囚われてた子だな。
神月澪で間違いないか?」
『誰……?』
「俺は壱条 要!
お前を助けに来たんだよ。」
差し出された手。
人を何人も殺したんだろう、紅く染まった服と手。
それでも。
あの時の僕には、何よりも綺麗に見えた。
『翼。』
「え?」
『あいつはどこ?』
「あぁ。もう一人の子?
大丈夫、保護してあるよ。」
『そっか。
………で、さっきから覗いてるあんたは何?』
翼が無事ならそれでよかった。
けど、視線が気になって仕方ない。
そんな考えしかなかった。
近くにあった拳銃を無意識に拾った。
あれがきっと。
全ての始まりだったんだ。
「澪…っ。そいつから離れなさい…っ!
あなたは……あたしのもの!
こっちに来るのよ!」
『鬱陶しいんですよ。あんたは。』
なんの躊躇いもなかったと思う。
安全装置を外すことも、引き金に手をかけることも。
本能のように。