僕はただのbarのオーナーです
cocktail.6
汐side
「これが、馴れ初めですね。」
3人が話し終わったとき、ゆっくりと口を開いた澪。
俺と兄貴は血が繋がってない?
正確にはいとこってやつか?
それに、兄貴が俺の本当の母親を殺した…?
「汐、本当の母親に会いたい?」
声をかけてきたのは、間違いなく俺が憧れた背中の持ち主で。
遠い記憶の時の兄貴。
その笑顔は悲しそうで、辛そうで。
『分かんねぇ。
けど……どんな人なのかは気になる。』
「………子供のことを思わない、最低な奴だったよ。
けど、お前と暮らしてたらいい母親だったのかもな。」
ふと寂しそうに言う兄貴。
「お前が生まれてすぐは、俺もあいつに世話になってたらしいし。
かすかに残る記憶のあいつは、綺麗に笑う人だった。」
『………そうなんだ。』