僕はただのbarのオーナーです
「汐。
あなたはどうするのですか?」
『俺は………』
どうすればいい?
どうすれば……。
「悩んでるならやめちまえ。
それがお前のためだよ、汐。」
ポンッと俺の頭を撫でるとふわっと笑う兄貴。
『兄貴は…家族とかもうどうでもいいのか?』
「…今は吹っ切れてるからな。
けど、唯一無二の存在であることに変わりはないよ?」
『なら、せめて父さんと母さんに会ってやってくれよっ!』
「分かってくれよ。
僕が僕を捨てて、俺になってさ。
簡単にその信念曲げるわけにはいかねぇんだ。」
昔と同じ笑顔をしてる兄貴。
本当の一人称〝僕〟で語ってくれて、笑顔を見せてくれて。
それでも、寂しそうに笑う兄貴。
「さぁ。
どうする?汐。」