僕はただのbarのオーナーです
「そっか。」
『眠れねぇの?』
「うん。
だから、ふと思い出した曲歌ってみた。」
空を見上げてふわっと笑う澪
懐かしい曲。
まだ裏に入りたてで、たらればばかり言ってた頃。
満天の星のしたで、適当に思い浮かんだ音を繋げて鼻歌を歌ってた俺。
たまたまそれを聞いていた澪が歌詞をつけて、出来上がった曲。
透き通った澪の歌は組内でも話題になってよく歌わされていた。
いつの間にかそんなこともなくなったけどな。
「早かったね。」
『なにが。』
「12年。」
『………そうだな。』
長いか短いかは分からねぇけど、早いか遅いかと聞かれれば、早かった。
がむしゃらに生きることを目的としてたから。
『俺らは止まることない刻の中で生きてる。
止まらないから、過ぎ去るから今を必死に生きるんだろ?』
「そうだね。
僕は今を僕らしく、僕の決めた道を歩く。
ただ、望んだ未来を見るために。」
『俺も同じだ。』
「僕が守ると決めたもの。
翼が守りたいと思うもの。
それに手を出すなら捻り潰す。
何人たりとも僕らの大切なものに手を出すものは殺す。」
『物騒だな。』