僕はただのbarのオーナーです
「黒羽になったのはなりゆきですよ。
なりゆきにしては忙しいので、無事を知らせるつもりもありませんでしたし。
今日も会いに来るつもりはありませんでした。」
「仕事の前に時間が空いたんです。
あと、汐にお二人にあってほしいと頼まれましたから、澪はそれを果たしただけですよ。」
澪も翼もはじめと同じ困ったように笑いながら言う。
本当に時間が余ったわけじゃないだろう。
たぶん、余らせたんだ。
汐の願いを叶えるために。
澪は渋ったけど、翼が無理矢理に連れてきたってとこかな?
『いい兄貴は健在ってとこか?』
「いい兄なら、弟に裏の存在は教えないものです。」
澪はふわりと笑ってそういう。
敬語ではあるものの、昔と変わらないその笑顔は俺にとって安心できて暖かく感じるものだった。
「今日来たのは汐がもしかしたら、六花に狙われるかもしれないって事を伝えに来たんです。」
翼が言った言葉に意味が分からず首を傾げると、澪が昨日あった出来事を詳しく話してくれた。
まさか、六花がガキの喧嘩に手を出してくるとは‥‥‥‥