僕はただのbarのオーナーです
澪side
「[…ってことで、今から来てもらえる?
迎えには秋雨が行くからさ。]」
『わかりました。』
「[じゃあ、頼むよ]」
『では後ほど…。』
軽くため息をついて電話を切りポケットにしまう。
翼は見つけたといえば見つけたけど、司沙さんがいたから声はかけなかった。
その後、司沙さんが何を言ったのかは分からないけど恐らく知られてしまったんだろうな。
まあ、仕方ないか。
『状況は最悪。
ほんと…KINGのターゲットになるとかついてない。』
自分のマンションのリビングのソファに横になる。
さっきの電話は凜音さん。
汐の素質を見事に見抜かれたらしい。
KINGは黒羽の弟である汐を自分のところに入れようと躍起になってるって報告。
要さんの計らいで、壱条に守られている汐だけど、KING相手ではそう簡単にも行かなくなってきたから、平たく言えば作戦会議をしようってこと。
『…………行くか。』
携帯と財布と家の鍵。
必要最低限だけ持つ。
黒羽でもなく、雫石でもない。
神月澪としての服で部屋を出る。
一階まで降りて自動ドアを出たその時……